
写真に記録した海の表情を石へと写しとり、削り、磨くことで石の表面に水面が立ち現われる「海のトレース」シリーズ。
石を素材とする彫刻家菅野泰史さんが、震災後の海を映像で記録し始めたことから生まれた作品です。
mado-beyaの空間で、ぜひ時間の許す限りじっくりとご鑑賞ください。
【展覧会名】mado-beya企画 第11回目 菅野泰史 個展「海のトレース」
【会期】2022年10月15日(土)-12月25日(日)
【日時】毎週土・日曜のみ/11:00-18:00(入場無料)
【会場】mado-beya(〒986-0822 宮城県石巻市中央2-4-3 石巻のキワマリ荘2階)
※新型コロナウイルス感染症対策の観点から、会期や時間が変更となる場合がございます。
■■■ご来場予定のお客様へのお願い■■■
・発熱(37.5℃以上)や風邪の症状がある方、咳が続くなど体調に不安のあるお客様は、ご来場をご遠慮ください。
・建物入口に消毒液を設置しておりますので、ご入場の際に手指消毒をお願いいたします。
・会場内ではマスクの着用をお願いいたします。
・会場内での飲食は禁止とさせていただいております。
・有事の際にご連絡ができますように芳名帳へのご記帳をお願いいたします。
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《 海のトレース / Trace of the sea
38°22'29.4"N 141°10’22.2”E NOBIRU 》
石(黒御影石:山西黒)
2018年

《 海のトレース / Trace of the sea
38°33'33.5"N 141°27'19.0"E NAGATSURA-OPPAWAN 》
石(黒御影石:山西黒)
2022年

《 軸箱の海 / the Ocean in an old box 》
石、軸箱、銀箔
2012年

《 Trace of the sea 2018 》
映像(iPadによる再生)/ 1h21min28s(loop)
2018年




「海のトレース」
コンセプトメモ:
震災から5年目を節目に海の記録を始めた。
福島県~青森県までの沿岸部をできるだけ隈なくめぐり、5年目以降の現実と空気を感じ、その現実をもたらした水ー海の諸相を短い映像とともに記録し蓄積する。
各地で記録した海の写真を、石の板の表面にトレースし、写し取った痕跡を押し込めるように削り、磨き、再び石を「水ー海」にしていく。
その場所の現在と、空気を内包し光に反射する水面が再びその石の表面に立ち現れ、訪れた場所場所の「水ー海」が一列に列ぶ時、5年目以降の現実と海の諸相が見えてくる。
これは個人的に行っているアナログなアーカイブス作業だと自覚している。
11年目を迎えてもなお、定期的にあの場所に通い向き合え続けることの本質的意味と、その広がりについて実感することが多くなった。ただ、遅々として進まないこの制作行為は、自戒と共にライフワークとなっていかざるを得ないような予感がある。
社会的事象とそれが映り込む水面を造形すること。
今を考える事と彫刻の領域の境界線を探り続ける事
それは私の美術として、可能性となりうるのかもしれない。
菅野泰史